- TOP
- ヤマコーお役立ち記事一覧
- 脱炭素社会は実現するのか?最新の取組!鉄鋼製造の今に迫る。
脱炭素社会は実現するのか?
最新の取組!鉄鋼製造の今に迫る。
2024.06.05
そもそも脱炭素社会とは何?
近年、よく耳にする「脱炭素」や「カーボンニュートラル」。
ある調査によると、60%以上の人が本来の意味を知らないという残念な結果を持つこの言葉。
ズバリ言うと、脱炭素は、二酸化炭素の排出をゼロに近づけるための取り組みのこと。
そしてカーボンニュートラルとは、二酸化炭素の排出と吸収がプラマイゼロ状態にすることです。
どちらも「持続可能(サステナブル)な未来」つまり脱炭素社会を実現するための取り組みで、国際的にも様々な枠組みや協定が取り決められています。
メディアでもSDGsとかパリ協定、G20やCOPなどが取り上げられることが増えていますね。
ご存知の通り、二酸化炭素は地球の温暖化を引き起こす温室効果ガスの1つ。
二酸化炭素を削減することは、温暖化の緩和や気候変動の影響を軽減することにつながるだけでなく、実は大気汚染の抑制にも関係しています。
工場などの多くの産業工程では、二酸化炭素と同時に他の有害物質や大気汚染物質も排出されているので、二酸化炭素を削減することは、他の物質の排出を抑えることにもなるのです。
このような二酸化炭素削減の取り組みは新たな技術開発や産業の転換などを促進し、それは私たちに安全で豊かな暮らしをもたらすことにつながるわけです。
太陽光発電や省エネ商品、リサイクルの促進など、個人レベルでできる取り組みもたくさんありますね。
脱炭素社会の実現には、国や企業だけでなく私たちひとりひとりを含めた社会全体が協力して、エネルギーの効率化や再生可能エネルギーの普及を推進することがとても重要なんですね。
ちなみに、二酸化炭素を多く排出しているトップ3は、
1位:エネルギー生産…発電所や製油所などのエネルギー生産
2位:交通…自動車、トラック、航空機などの交通機関
3位:産業プロセス…鉄鋼、セメント、化学工場などの産業プロセス
です。
予想通りですか?
このうち、3位の産業プロセスの中で特に多くのCO2を排出しているのは鉄鋼製造業です。
鉄鋼ってどんなものに利用されているの?
鉄鋼は、とても丈夫で使いやすい素材のため、私たちの身近でも多く使われています。
たとえば、建物の構造体や鉄骨をはじめ、自動車や船、飛行機、機械や各種部品、橋梁、レール、パイプラインなどのインフラ建設にも数多く使用され、その年間生産量は世界全体で数十億トンに上ります。
現代社会において欠かすことのできない鉄鋼ですが、実は製造業で最も二酸化炭素(CO2)を排出するとされています。
日本鉄リサイクル工業会によると、鉄鋼の製造に伴うCO2排出量は、鉄鋼1トン当たり2トン!
なんと製造した鉄鋼の2倍のCO2が排出されていたんです。
とても便利で欠かせない鉄鋼だけど、これほど多くのCO2が排出されていたとは驚きです!
鉄鋼製造でどうしてCO2が排出されるの?
鉄をつくるには、原料となる鉄鉱石に含まれている酸素の還元が必要です。
「酸化と還元」、理科の授業を覚えていますか?
物質が酸素と結びつくことを「酸化」と言いますが、「還元」は、逆に酸化物から酸素をとりのぞくことを意味します。
製鉄プロセスでは
①石炭からコークスと呼ばれる炭素の塊を作る。
②鉄鉱石と①のコークスを高炉へ投入し、鉄鉱石を溶かす。
③鉄鉱石が還元され、製鋼の原料となる銑鉄(せんてつ)が出来る。
この③の還元により、炭素(C)と鉄鉱石に含まれる酸素(O)が結びつき、二酸化炭素(CO2)が発生するのです。
(出典:一般社団法人日本鉄リサイクル工業会)
図のように、鉄鋼製造プロセス全体において、CO2の発生割合はこの高炉を含む「上行程」が約7割を占めています。ここを抑えることができれば、非常に大きなCO2削減が見込めると思いませんか?
もっとCO2を減らすことは出来ないの?
実は今、大手鉄鋼会社によって脱炭素化に向けた技術開発が進められています。
中でも、これまでは炭素を使うしかなかった還元の一部を水素に置き換えるという
超革新技術「高炉水素還元技術」が開発されました。
大手鉄鋼会社の1つである日本製鉄では2024年2月、高炉からのCO2排出量を33%削減に成功するなど、鉄鋼製造業界では50%以上のCO2排出削減を目指して積極的な取り組みが実施されています。
もっと知りたい場合はこちらをチェック
COURSE50 https://www.greins.jp/course50/
日本製鉄の取り組みはコチラ
日本製鉄 https://www.nipponsteel.com/csr/env/warming/zerocarbon.html
このように、日本製鉄など製鉄各社では2050年までのカーボンニュートラル化を目指し、グリーンエネルギーの安定供給等の社会インフラ整備を政府や関係各所へ働きかけるなど業界全体でCO2削減に取り組んでいるのです。
計画通りにいけば、2050年までにCO2の排出と吸収量のバランスがプラマイゼロになるカーボンニュートラルが実現するわけですね!
さらに、CO2排出量を抑えられる電炉への転換も進んでいます。
還元済みの鉄材料(鉄スクラップ)を使用する電炉は、コークスを燃やす高炉に比べてCO2排出量が約4分の1に抑えられるんです。
そのため、日本製鉄では既に瀬戸内製鉄所広畑地区での小型電炉の商業運転が開始されるなど、2030年ごろを目標に製鉄各社は電炉への転換を図っています。
水素還元技術だけでなく、電炉での高級鋼製造を可能にすることはこれまで不可能だった革新的な技術であり、カーボンニュートラル化のために不可欠なのです。
(出典:一般社団法人日本鉄リサイクル工業会)
日本鉄リサイクル工業会(https://www.jisri.or.jp/)では、「1tの鉄スクラップを再生利用するとCO2を1.39t削減できる」として「Co2-1.39t」をスローガンに啓蒙活動を行っています。まさに今、鉄スクラップがCO2削減の重要な一翼を担っているのです。
鉄スクラップ(リサイクル品)ってどの様なところからでるの?
電炉で使用される還元済みの鉄材料とは、いわゆる鉄スクラップ(リサイクル品)のこと。
この鉄スクラップ、どこから来るかわかりますか?
私たちヤマコー株式会社の鉄スクラップは、まさしくこの電炉で再利用される還元済みの鉄材料です。
最も良質な鉄スクラップは、自動車工場系スクラップ(https://www.yamako-gr.co.jp/business_lineup/iron_none_fe.php)です。
自動車工場系スクラップは、鉄板をプレスした際に出る端材や加工時の削りカスなど、自動車製造工場から回収されるもので、鉄スクラップの中で最も高品位とされています。
ヤマコー株式会社では、これらのスクラップを提携工場より回収し、日本製鉄へ提供しています。
他にも、廃車になった自動車や使用済みの自動販売機、建物の解体の際に出る鉄筋や鉄骨等の廃材なども適切に分別し、良質な鉄スクラップとなります。
地球環境のために私たちひとり一人ができることって?
持続可能(サステナブル)な社会の実現のためには自治体や企業だけではなく、社会全体で取り組んでいくことが大切です。
ですが、鉄製品の購入をやめるなど、暮らしに無理を強いるのではなく、リサイクル可能な商品の購入、できるだけ修理して使用する、廃棄の際は適切な廃棄を行う許可業者に依頼するなど、個々で取り組めることもたくさんあります。
ここまで読んでくださった皆さんもこれを機にぜひ、地球環境や限りある資源、そして身近な鉄素材について考え、持続可能(サステナブル)な社会の実現のために取り組んでみてはいかがでしょうか。
そもそも脱炭素社会とは何?
近年、よく耳にする「脱炭素」や「カーボンニュートラル」。
ある調査によると、60%以上の人が本来の意味を知らないという残念な結果を持つこの言葉。
ズバリ言うと、脱炭素は、二酸化炭素の排出をゼロに近づけるための取り組みのこと。
そしてカーボンニュートラルとは、二酸化炭素の排出と吸収がプラマイゼロ状態にすることです。
どちらも「持続可能(サステナブル)な未来」つまり脱炭素社会を実現するための取り組みで、国際的にも様々な枠組みや協定が取り決められています。
メディアでもSDGsとかパリ協定、G20やCOPなどが取り上げられることが増えていますね。
ご存知の通り、二酸化炭素は地球の温暖化を引き起こす温室効果ガスの1つ。
二酸化炭素を削減することは、温暖化の緩和や気候変動の影響を軽減することにつながるだけでなく、実は大気汚染の抑制にも関係しています。
工場などの多くの産業工程では、二酸化炭素と同時に他の有害物質や大気汚染物質も排出されているので、二酸化炭素を削減することは、他の物質の排出を抑えることにもなるのです。
このような二酸化炭素削減の取り組みは新たな技術開発や産業の転換などを促進し、それは私たちに安全で豊かな暮らしをもたらすことにつながるわけです。
太陽光発電や省エネ商品、リサイクルの促進など、個人レベルでできる取り組みもたくさんありますね。
脱炭素社会の実現には、国や企業だけでなく私たちひとりひとりを含めた社会全体が協力して、エネルギーの効率化や再生可能エネルギーの普及を推進することがとても重要なんですね。
ちなみに、二酸化炭素を多く排出しているトップ3は、
1位:エネルギー生産…発電所や製油所などのエネルギー生産
2位:交通…自動車、トラック、航空機などの交通機関
3位:産業プロセス…鉄鋼、セメント、化学工場などの産業プロセス
です。
予想通りですか?
このうち、3位の産業プロセスの中で特に多くのCO2を排出しているのは鉄鋼製造業です。
鉄鋼ってどんなものに利用されているの?
鉄鋼は、とても丈夫で使いやすい素材のため、私たちの身近でも多く使われています。
たとえば、建物の構造体や鉄骨をはじめ、自動車や船、飛行機、機械や各種部品、橋梁、レール、パイプラインなどのインフラ建設にも数多く使用され、その年間生産量は世界全体で数十億トンに上ります。
現代社会において欠かすことのできない鉄鋼ですが、実は製造業で最も二酸化炭素(CO2)を排出するとされています。
日本鉄リサイクル工業会によると、鉄鋼の製造に伴うCO2排出量は、鉄鋼1トン当たり2トン!
なんと製造した鉄鋼の2倍のCO2が排出されていたんです。
とても便利で欠かせない鉄鋼だけど、これほど多くのCO2が排出されていたとは驚きです!
鉄鋼製造でどうしてCO2が排出されるの?
鉄をつくるには、原料となる鉄鉱石に含まれている酸素の還元が必要です。
「酸化と還元」、理科の授業を覚えていますか?
物質が酸素と結びつくことを「酸化」と言いますが、「還元」は、逆に酸化物から酸素をとりのぞくことを意味します。
製鉄プロセスでは
①石炭からコークスと呼ばれる炭素の塊を作る。
②鉄鉱石と①のコークスを高炉へ投入し、鉄鉱石を溶かす。
③鉄鉱石が還元され、製鋼の原料となる銑鉄(せんてつ)が出来る。
この③の還元により、炭素(C)と鉄鉱石に含まれる酸素(O)が結びつき、二酸化炭素(CO2)が発生するのです。
図のように、鉄鋼製造プロセス全体において、CO2の発生割合はこの高炉を含む「上行程」が約7割を占めています。ここを抑えることができれば、非常に大きなCO2削減が見込めると思いませんか?
もっとCO2を減らすことは出来ないの?
実は今、大手鉄鋼会社によって脱炭素化に向けた技術開発が進められています。
中でも、これまでは炭素を使うしかなかった還元の一部を水素に置き換えるという
超革新技術「高炉水素還元技術」が開発されました。
大手鉄鋼会社の1つである日本製鉄では2024年2月、高炉からのCO2排出量を33%削減に成功するなど、鉄鋼製造業界では50%以上のCO2排出削減を目指して積極的な取り組みが実施されています。
このように、日本製鉄など製鉄各社では2050年までのカーボンニュートラル化を目指し、グリーンエネルギーの安定供給等の社会インフラ整備を政府や関係各所へ働きかけるなど業界全体でCO2削減に取り組んでいるのです。
計画通りにいけば、2050年までにCO2の排出と吸収量のバランスがプラマイゼロになるカーボンニュートラルが実現するわけですね!
さらに、CO2排出量を抑えられる電炉への転換も進んでいます。
還元済みの鉄材料(鉄スクラップ)を使用する電炉は、コークスを燃やす高炉に比べてCO2排出量が約4分の1に抑えられるんです。
そのため、日本製鉄では既に瀬戸内製鉄所広畑地区での小型電炉の商業運転が開始されるなど、2030年ごろを目標に製鉄各社は電炉への転換を図っています。
水素還元技術だけでなく、電炉での高級鋼製造を可能にすることはこれまで不可能だった革新的な技術であり、カーボンニュートラル化のために不可欠なのです。
日本鉄リサイクル工業会(https://www.jisri.or.jp/)では、「1tの鉄スクラップを再生利用するとCO2を1.39t削減できる」として「Co2-1.39t」をスローガンに啓蒙活動を行っています。まさに今、鉄スクラップがCO2削減の重要な一翼を担っているのです。
鉄スクラップ(リサイクル品)ってどの様なところからでるの?
電炉で使用される還元済みの鉄材料とは、いわゆる鉄スクラップ(リサイクル品)のこと。
この鉄スクラップ、どこから来るかわかりますか?
私たちヤマコー株式会社の鉄スクラップは、まさしくこの電炉で再利用される還元済みの鉄材料です。
最も良質な鉄スクラップは、自動車工場系スクラップ(https://www.yamako-gr.co.jp/business_lineup/iron_none_fe.php)です。
自動車工場系スクラップは、鉄板をプレスした際に出る端材や加工時の削りカスなど、自動車製造工場から回収されるもので、鉄スクラップの中で最も高品位とされています。
ヤマコー株式会社では、これらのスクラップを提携工場より回収し、日本製鉄へ提供しています。
他にも、廃車になった自動車や使用済みの自動販売機、建物の解体の際に出る鉄筋や鉄骨等の廃材なども適切に分別し、良質な鉄スクラップとなります。
地球環境のために私たちひとり一人ができることって?
持続可能(サステナブル)な社会の実現のためには自治体や企業だけではなく、社会全体で取り組んでいくことが大切です。
ですが、鉄製品の購入をやめるなど、暮らしに無理を強いるのではなく、リサイクル可能な商品の購入、できるだけ修理して使用する、廃棄の際は適切な廃棄を行う許可業者に依頼するなど、個々で取り組めることもたくさんあります。
ここまで読んでくださった皆さんもこれを機にぜひ、地球環境や限りある資源、そして身近な鉄素材について考え、持続可能(サステナブル)な社会の実現のために取り組んでみてはいかがでしょうか。